ふらふらと誘われて
 気付いた時に、もう

<誘蛾灯>

 金色の髪は、灰色の中でよく映える。
 本当は晴天の下がよく似合うのだろうが――生憎此処には、灰色に染まった街しか、ない。

 よく映えるということは、よく目立つということ。
 
 体に、俺のような、俺達のような、攻撃用の機械化をなされていない彼女。
 そんな彼女の役割は、最前線を駆け抜ける『囮』。

 その為に、彼女は両足を機械化された。
 その為に、機械化を施したのだと、奴は言っていた。

 彼女が、敵を引きつける。
 俺達が、奴等を壊す。
 そうしてようやく、泥のような戦況は拮抗している。

 人を壊すように、設定(プログラミング)された奴等。
 設定に従って彼女を壊そうとして――逆に、壊される。
 奴等を壊すように、体の一部を機械化された俺達に。

 何時だったか。
 ゼクスが、『誘蛾灯』だと言っていた。
 その時は嫌な音だと思った、その言葉。
 
 けれどもそれは、当っているのかもしれないと、最近思う。

「? フィーア、何か考えてる?」
「ん……?」
「違うなら、良いけど……何か、焦点あってなかったからさ」
「……何でもない」

 ひらひらと近寄って
 気付いた時には抜け出せなくて

 きっともう、
 俺は彼女に溺れてしまっているんだろうと

 最近、特に

「やっぱ変……熱でもあるの?」
「特には……そんなに、変か?」
「変よ。だって」

「あたしのこと見て、笑ってるんだもの」
「……何でも、ない」

 そう、思う。

           あとがき。
            ポエミィフィーア。
            捕らえてているように見えて、捕らわれているのかもしれません。
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